[Choreo] 大人気の振付師、Parris Goebelに賛否両論、炎上中!?

d-dotでも何度も取り上げてきた人気の振付師Parris Goebel(パリス・ゴーベル)、ジャスティン・ビーバーの振付けなどで引き続き大活躍の彼女が、思わぬところで批判を受けて「炎上」しています。

女性のセクシーさをいやらしさではなく力強さ、迫力で見せる振付けが特徴のパリス、特にジャスティン・ビーバーの振付けを担当して火がつき、多くのメディアで取り上げられた上最近では出身国New Zealandの首相から表彰されたりと、飛ぶ鳥を落とす勢い。その彼女がなぜ批判されるのか。

きっかけはそのジャスティン・ビーバーの“Sorry”で全面的に振付けを担当、彼女を中心としたミュージックビデオが大人気になったこと。


Justin Bieber “Sorry”

大反響となったこのビデオの人気を受けて、Rolling Stone誌が掲載したインタビューで、パリスは「ダンスの動きを思いつくインスピレーション元」を尋ねられて「だいたい音楽だけ」「その曲と場にいる人たちから感じたものを衝動的に出す」などと答えています。

実は彼女の振付けはダンスホール・レゲエのムーブを取り入れたものが多いのにそれについてはコメントしませんでした。これを知ったダンスホール・ファンやジャマイカの人々の一部が怒り心頭、「文化の盗用(cultural appropriation)」だと非難コメントが殺到し炎上した、というわけです。

この問題はアメリカや旧植民地国ではよく話題になるもので、例えばスリランカ人であるM.I.A.がアフリカのダンサーを登場させたミュージックビデオに、「文化の盗用」というレッテルがはられ、公開できないという事件が起きました。またこのパリス同様に何度か取り上げているダンサー出身のミュージシャン、FKA・トゥウィッグス(FKA Twigs)は昨年、ヴォーギングを大々的に取り入れましたが、これについてもゲイ・カルチャーの剽窃だ、という批判があったりします。

例えばかのエルヴィス・プレスリーは、当時のブラックミュージックをそのまま取り入れて活躍、大人気となり、その「伝説」ぶりは今も衰えませんが、アフリカン・アメリカンからすれば「自分たちの文化を盗んだアーティスト」と感じることもあるわけです。ジャマイカへの「リスペクト」を表明しそこなったパリスは、そういう例のひとつになってしまったことになります。

この批判を受けて、後日、パリス本人がfacebookに釈明コメントを投稿しています。

If you know me personally or have worked with me before you will know that i LOVE dancehall and have such a huge respect and passion for it. A lot of my routines before sorry have been inspired by dancehall, you can see all over youtube…Mek it bunx up, whine & kotch ETC…you can see i am heavily inspired by it.
私を知ってる人、一緒に働いた人なら、私がダンスホールを愛していて、とてつもなく大事に思って情熱を捧げてることをわかってくれてる。私の“sorry”以前の振付けの多くはダンスホールに影響されてるし、youtubeを見ればそれは明らかでしょう…
-Parris Goebel (via her facebook post)

このコメントに続けて、インタビューの一言だけをとりあえげて自分を裁くようなことはやめてほしい、と書いているパリス。本人としては(ダンスを知っている人が見ればわかるような)ダンスホールの影響を隠そうとしたわけでもなく、こういった批判を受けることに驚いた、ということのようです。

“Sorry”後に発表されたこちらのビデオもパリス・ゴーベルらが振付け。移動し続けるカメラワークと振付けの組み合わせはパリスの十八番とも言える演出に、いろいろなスタイルが絡んで素晴らしい! ちなみにパリス、その活躍を母国NZの総理大臣に表彰されるという快挙まで達成。引き続き注目を集めることはまちがいない人ですね。


Justin Bieber, Diplo & Skrillex (Jack Ü)
“Where Are Ü Now”
Choreography: Parris Goebel, Nick Demoura & Lady Cultura

ABOUTこの記事をかいた人

とにかくクラブで踊るのが好き!という自分の趣味をそのまま仕事にしたライター、編集者、コーダー。 ダンス雑誌『Dance Style』(リットーミュージック、現在は休刊)で編集やDVDシリーズ9本の監督を務める。音楽方面では渋谷のナイトクラブshibuyaNutsで広報・メディア制作を担当。