artist: Prince ( プリンス )
song: “Batdance” ( バットダンス )
choreographer: Barry Lather ( バリー・ラザー )
director: Albert Magnoli(アルバート・マンゴーリ)
まだ57歳。
あまりにも唐突に亡くなってしまったプリンス。ほとんど1人で創りあげてしまうその音楽やパフォーマンス、表現にまっすぐに向き合い続けた天才の死を受けて、各メディアで様々なエピソードが取り上げられていますが、d-dotではまず、怪作“Batdance”を紹介しましょう。
1989年のTim Burton(ティム・バートン)監督による“Batman”映画化作品、そのサウンドトラックは当初、プリンスのヒット曲+新曲、Michael Jackson(マイケル・ジャクソン)の作品で企画されていましたが、最終的にプリンスが丸々1枚のアルバムを新しく制作。そのなかでも最後にアルバム収録が決まった“Batdance”はご覧(お聴き)のとおり、いくつかの曲をコラージュしたような構成です。
バットマンが何かもろくにわかっていなかった発表当時、自分にとってはこの構成だけでもかなり謎だったんですが、あまりにも強烈でしっかり録画(※VHS)してました。そしていま、映画やプリンスという存在を踏まえて見なおしてみると……えーと、やっぱりわけがわからない(笑)。バットマンとジョーカー、その間に立つヒロイン役のVicki、それぞれ複数のダンサーが群舞を見せる。プリンス自身はバットマンとジョーカーの二面をくっつけた存在Geminiを演じる。ここまではいい。でも、その上に、さらにプリンス本人が本人役で登場しているってどういうこと……?
そんな疑問への答え、「正解」はきっといつまでも明らかにならないでしょうが、特に衣裳と移動+カメラワークによる演出が生きているカットがいくつもあり、7分近くもあるのに見ていて飽きない強烈さがあります。
当時ダンサー出身のシンガーとして人気だったPaula Abdul(ポーラ・アブドゥル)が振付けする可能性もあったそうですが、最終的にはポーラが振りつけたJanet Jackson(ジャネット・ジャクソン)“Nasty”でも踊っていたバリー・ラザーが振付けを担当。バリーは“Captain EO”などマイケル・ジャクソン作品にも絡んでいたせいか、MJの影響が垣間見えるダンスになっています。その後も長く活躍し人気ダンス番組“Dancing With Stars”やリアーナのステージ監修などでも活躍するバリーは「プリンスにはプリンスのアイディアがあり、自分には自分のアイディアがあった」と語っているそうですが、改めてこのビデオを見るとプリンスの色、パープルに染めきって、「◯◯っぽい」要素なんてナシってのが一番ですよね!!