ずいぶんと昔の話ですが、NYを代表するダンサーの1人、LinkがBody Percussionの練習をしていた時期があります。ミュージカル“Stomp”などでもおなじみの、身体で音を出してリズムにしていくアレです。
その時に彼が言っていたのが、「いろいろな音色を聞き分けて、それぞれの音を踊れるようにしろ。それができたら、今度はその音色を、常に意表をつくように切り替えて踊るんだ。それだけでみんな惹きつけられる」ということ。
技能としてのダンスを極めていくうえではこれはとても大事な金言だと思うのです。
さらに、その延長線上には「複数の音を同時に取る」という技術があります。
これまたNYCのダンサー、Brian “Footwork” Greenには「Locking’がストリートダンスの中ではとても難易度が高い。上半身と下半身で別の動きをすることが絶対に必要だから」と言っていたのですが、ミュージシャンで言えばドラマーにも通じるものがあります。足でキックドラムを踏みながら、手でスネアとハイハットやタムを叩き分ける。同時に複数のことをやるのが難しいのは、左右の手でそれぞれ3拍子と4拍子をとる古典的な遊びでも十分に実感できます。
でも、難しいからこそ挑戦する人たちがいて、名人級のダンサーたちにはそれをやってのける人が何人もいます。ここではフランスのSpider Salahを紹介しましょう。
Spider Salah killed Les Twins
YouTube世代の代表、世界中で大人気のLes Twinsがバトルで負ける映像というのもすごいのですが、このなかでSalah登場時(2:30過ぎ)の右手で電子音を取り、左手で拍をとる流れ、強烈です。とてもわかりやすくシンプルな動きでこの破壊力。さらにこれからもっと洗練された動きが出てくるかもしれない、と思うと楽しみで仕方ありませんね。
[追記] ちょうど、Salahのこの動きの動画が流れてきました。TOTAL SESSION 7 – Poppin avec Serge , Salah, Arno, Franck Luce ,…
Posted by Mista Sly on 2016年2月3日
6分頃を見てください。ここでは右手の動きは「音をとっている」のとは関係ないように見えますから、彼も身体面の技術として修練しているんでしょうね。他にもいろいろと見どころがあって面白い動画です。