シェイクにもいろいろあってだな

マックシェイクとかっておいしいんですか?
あけましておめでとうございます。
甘い飲み物は極力さけるjiroです。

先日、クラブで踊っていたらちょっとしみじみする事件があったんですよ。
年末、ひっさびさに渋谷のクラブに行ったんです。本当に久しぶりのイケイケなヒップホップ・クラブで、やたら休んだ分、耳がいい意味でも悪い意味でも繊細になったなーとか、体力の衰えとかおっさんならではのおかしみもいろいろありました。疲れてフロアを出たあとに電車を待ちながらダベる時間とか、そういうところも含めて、やっぱりあのチャラチャラした下世話さって日常にはなかなかないので相当楽しかったわけです。

といっても、フロアからはなんというか以前よりオラオラ感のようなものが薄れてまして、1年やそこらでお客というのは随分変わるものだな、と。まずナンパが少ない。以前と同じく「回遊」している男どもはたくさんいるわけなんですが、あんまり手当たり次第ナンパ、という風ではなくなっている。聞いた話によるとイケイケEDMのクラブにそういう人たちは移ったっぽいんですね。それに一時期やたら目立った、踊ってると絡んできたがるダンサーなみなさんも減ったようで、踊るスペースもあり、かと言って悪目立ちするほど空いているわけでもないという、個人的には適度に踊れる空間でとても楽しかったわけです。

そこでまあ、当然のように、おなじみの“California Love”がかかったんですね。

ウェッサーイな人大喜びのこの曲。個人的には2pacのヴァース後、3回めのサビ後にあるブリッジ部分(3:34以降)がキモです、そこまで長くかけてらんない、というDJの方が多いですが。”Shake it, shake it baby. Shake it, shake it mama, shake it Cali.”ってね。Poppingな人たちにはもう鉄板のアーティスト、Zappでお馴染みRoger Troutmanのグルーヴあふれる歌がめちゃめちゃ気持ちいいんです。

ここで、少なくなったとはいえ、「ダンサー」やってます、みたいな若者たちの集団のひとつが、喜々として踊りだしたんですよ。「お、この部分まで知ってるんだ、いいね」と一瞬、思いかけた直後に見たダンスがこれ↓ね。

“Shake”ですね……。
そらー“Shake”って歌ってはいますよ。
でもね、この歌ってキャリフォーニャ讃歌じゃないですか。バリバリのアメリカ西海岸ロスアンジェルス地元バンザイな歌なわけですよ(※2pacは東海岸出身ですけど、そのへんは入り組んでいるので興味ある方は自分で調べてね)。で、↑の「ハーレム」シェイクは、NYCのHarlem地区のダンスです……。

もうね。
TLCがかかってる時にDJに向かって「A」サイン(=アトランタの曲をかけろとアピール)してた子を見た時のような、とっても甘酸っぱくてどこか物悲しいあの気持ちふたたび。

お好み焼きバンザイっていう歌を歌いながら東京音頭を踊られたというか、マリアジージュ・フレールでお茶してたら「やっぱり紅茶はイギリスだね」ってドヤ顔されたような、なんとも言えない気分。

いや、自分もね、こう書いちゃうとアレですけど、それこそRogerが使っているトークボックスとヴォコーダーという楽器の区別もつかずに文章を書き散らしていた恥ずかしい奴ですよ。きっと自分の文章を読んでこういう気分を味わった人が相当数いたんだろうなあ、と思うと、申し訳ないような気持ちにもなりますから、「恥ずかしいやつーぷぷー」とか責める気にはとてもなれないのです。

でもね……酸っぱい。
ネコがうんこしたあとに砂をかいた肉球の匂いのように、香ばしく、どこか酸っぱいこの気持ちを、いかんともしがたいのです。

というわけで、もしお友達がこういうことをしていたら、そっとつっこんであげてくださいね。

Happy New Year!!※

※「このサイトもいろいろとそういうことをかます可能性がありますので、そういう適当な情報を見つけたら遠慮なくしばいてください」という意味。

ABOUTこの記事をかいた人

とにかくクラブで踊るのが好き!という自分の趣味をそのまま仕事にしたライター、編集者、コーダー。 ダンス雑誌『Dance Style』(リットーミュージック、現在は休刊)で編集やDVDシリーズ9本の監督を務める。音楽方面では渋谷のナイトクラブshibuyaNutsで広報・メディア制作を担当。